夏のおくりもの

*本ページはアフィリエイト広告を使用しています。

 


おすそわけ。
それから、人付き合いのお話。


7月に入って、夏野菜の美味しい季節が始まりました。
夫婦ともによそからやって来て、地縁の無い我が家4人組。ありがたくも知り合いの方々から、良く色々な世話を焼いてもらっています。
夏は特に、野菜のおすそ分けを多く頂きます。

茄子。
トマト。
きゅうり。
いんげん豆。
紫蘇。バジル。
にんにく。
ゴーヤ。
夕顔…。

かごにどっさりと頂くと、目にも鮮やかで楽しい。
味も本当に美味しいので、いつもどんなに疲れていても「わー!いっぱいもらった!今日は何作ろうかなー。どんな風にして味わおうかなー」と、ウキウキさせられてしまいます。強制ウキウキ。

味も色形もビビッドな、夏野菜。
わたしはとあるお宅のとれたて野菜を頂いて初めて、こんな味だったんだ!…と知ったものがいくつもあります。

たとえば。
キュウリは、みずみずしいけどポクリポクリと歯ごたえもあって、それから独特の味わい。
自分が小さい頃に食べていたキュウリって、本当に味がしなかったんだな。そう感じるくらい、深い味をしている。

そして、ナス。とろけるように、甘い。
わたしは昨年、頂いたナスで焼きナスを作って以来、すっかり大好物になってしまいました。
揚げても焼いても煮ても美味しいけど、焼きナスが一番魅力的。
あの汁気あふれるジューシーな果肉…たまらん。

それからつい先日、びっくりさせられたのがインゲン豆です。
とれたてを包丁で切ったら、その瞬間ふと、ほのかに漂ういい香り。
なんてことだ…。
インゲンが香るなんてこと、今まで全然知らんかったぞ。大発見だ。
「インゲン豆からいいにおいがする!」。
すぐさまだんなさんを呼びつけ、台所で一緒にすんすん、すんすんと一生懸命においをかいでいました。
青みがあって甘さもあって、いい香りだったな…。

どの子も手塩にかけて、丁寧に育てられた野菜なんだということが、口からじかに伝わってくる味。
もはや一つの「作品」だと思うのだけれど、こういう「誰でも簡単に味わえる」もの、「毎日使う(食べる)」ものを、ハイ、どーぞ!と気軽に人に渡せるのって、すごくいいなあ…と思う。
なんとシンプルに率直に、その人の手練のすごさが伝わることか。
憧れてしまいます。

他にもたくさんの方にお世話になっているのですが、「ソースいります?ジャムもあるよ!」と、美味しいご馳走を分けて下さる方もいらっしゃいます。
奥様が料理のプロということもあり、「ついでだから」とピザやパン、グラタンなど、立派な一品までよくよく持たせて下さる。
まるでレストランにテイクアウトに行ったみたいになる、帰り道…。
かえりみれば「こんなに…!?」と恐縮してしまうくらい、色々なものを頂いて生きている、我が家です。

交流のあるご家庭とこうしたやりとりするのは、多分ここのお付き合い文化として、決して珍しくないことなんだろうなと思います。
でも、「野菜いる?」「ソースいる?」「果物いる?」と折々にメッセージを頂くにつけ、我が家はことあるごとに思い出してもらったり、気に掛けてもらったりしてるんだなあ…としみじみ感じる。
両手いっぱいにまで膨らんだおすそ分けを頂いてくる度、温かく見守ってもらってるんだなあ、と心底感じる。
地縁の全く無い身としては、そんな風に考えてくれている人たちがいてくれることが本当に嬉しく、ありがたいわけです。




玄関先でお話して、お家に迎え入れてもらって、短かったり長かったりするひと時を一緒に過ごして帰路に着くと、いつも気持ちが本当―に軽くなって、楽しくなっているのを感じます。
まるで、心がデトックスされでもしたかのような。

その軽やかさに背中を押されて、
「こんなにお世話になってるということを、「こんなにしてもらってばかりで、申し訳ない」に変えて気に病むのは、違うよな。
これは、「応援してもらってる」んだ。
だからまずは、自分のやるべきことを一生懸命頑張ろう。
このありがたい気持ちは、返せるタイミングで返していくようにしよう」
…と、思うようにしています。
明日も、頑張らないと。


我が家がこうして世話を焼いてもらうのは、だんなさんが粘り強く一人仕事を続けている姿であったり、地域活動への参加だったり。
よそもの二人が頑張って慣れない子育てをしていることだったり。
少子化が進む中、子どもたち二人組の存在感であったり。

いろいろあるとは思いますが、でもやっぱり、温かい人たちに囲まれている、人にめぐまれているな、と思います。
よく「わざわざこんなところに住んでくれて…」と言ってくださる人たちもありますが、そんなそんな。
うちこそ、自分たちが好きで住んでいるところに、ありがたいばっかりです。よー。

別に、一般的に「優しい」「人付き合いが好き」という方ばかりが住んでいるところ、とは思いません。
田舎も都会も、山も海も町場でも、いろいろな人がいるのは当然のこと。
でも、自然環境が、過疎化と少子化の波が、厳しいところだからなのか。
コミュニティが小さい、顔見知りの多いところだからか。
わたしが朝日町で出会った人たちは、いつもどこかに謙虚さとお互い様精神を持って、相手に声をかけながら生きている気がします。


そんなことを書きつづっていたら、今度はりんごをたくさん頂きました。
りんごが有名、朝日町。もう秋の始まりなんだなーと感じます。
何作ろうかな。

おまけ。

世の中には「現地妻」という言葉がありますが、うちの子供たちには「現地じいじ」「現地ばあば」がたくさんいるんだな、と感じる時がままあります。
何にせよ、ありがたいことです…。


(2020年9月上旬)

コメント

タイトルとURLをコピーしました