とかいところの自然災害・前編

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マヨです。
2020年がもうすぐ終わろうとしていますが、一年を振り返って、今年の夏に起きた豪雨災害のことを書いておこうと思います。

2020年7月28日、山形県全域に大変な雨が降りました。
山形県の各所で被害が出ましたが、朝日町でも色々な場所で、土砂崩れや冠水が起きました。

上の一枚は、ごく近所の道路で起きた土砂崩れ被害です。
わたし達家族も家も結局は無事だったけれど、家からすぐのこの道は、ガードレールごと崩落してしまった。
道路は今も補修作業の途中で、降雪間近の12月現在、ブルーシートがかけられています。
散歩中にこの景色を目にするにつけ、もしかしたら我が家にも「何事か」が起こる可能性もあったのかもしれない、と思います。

しかしながら「とかいところ」で暮らす以上、こういう災害が起こる可能性は、残念ながら常にあります。
ということで、7月豪雨災害で自分が肝に銘じたのは、「どんな風に災害と付き合っていかないといけないのか、自分たちのやり方を模索していかないといけない」ということでした。
まずはその第一歩として、当日に何が起こっていたか、次にはどんな風に動かないといけないと感じたのか。
反省かたがた、ここにも自分なりに書きつけておこうと思います。

今回、またも本文が長くなったので、前後編に分けました。
まずは前編からどうぞ。

一日、あらまし

8月発行の町報の特集記事によれば、7月28日当日、世間では物事はこんな風に動いていたようです。

0時47分大雨注意報が発令される
5時34分大雨警報 発表
5時40分町役場にて、災害対策警戒班の配備
7時15分~町内で通行止めの道路が出てくる
9時50分~町内で床下浸水する家庭が出てくる
10時05分土砂災害警戒情報の発表
11時35分町内全域に避難勧告が出される
同時に、町内3カ所に避難所が設置される
12時00分災害対策本部の設置
12時17分洪水警報の発令
12時30分頃~町内各所で冠水や土砂崩れが確認される
また、各地域の公民館へ避難する人が出てくる
15時前町内各所で山崩れが確認される
 ・・・      ・・・
19時30分頃町内の道路が決壊
(参考:『広報あさひまち』第765号、20年8月12日発行)

一つ一つのことがらをこうして追ってみると、実に朝早くから、色々な物事が動き出しています(関係者の方々、お疲れ様です、そしてありがとさまでした)。
各種注意報や警報は日付が変わった段階からもう出されているし、通行止めの道も午前から出ていたんですね。
知らなかった…。

実際、朝一番の段階では、我が家はまだ「今日は気を付けて動こう」「一通りの準備はしておかないとなあ」くらいの感覚でした。
我が家だけでなく、保育園も含めた生活の部分は、いずこも平常時のタイムラインで動き出していたんですよね。

避難勧告が出たのは11時半ですが、異常事態だ!と物事がばたばた動き出したのは、昼過ぎからのように思い出されます。
雨が激しくなり、周囲の状況が耳に入って我が家が避難しようと動き出したのが、ちょうど13時~14時頃のこと。
また、だんなさんに地域の消防団の召集がかかったのが12時過ぎ。
保育園の通常保育が終了したと連絡を受けたのは14時でした。
町報のタイムラインを見ても、各地域の人達が最寄りの公民館に避難したのも、ちょうど同じくらいの時間(12時半~14時くらい)だった様です。

我が家の場合

さて、具体的に当日の我が家の動きを追ってみると、こんな具合でした。

午前7時半
いちひめ、通園バスで保育園に出発。
雨自体はさほどひどくは感じない。
育児と家事に専念して過ごす。

午前10時半
実父より、豪雨災害を心配するメッセージ。現状と心配ないことを連絡している。
雨は激しくなってきているが、家からは動かず。
万が一の避難セットを準備し始める。

ー午前11時30分頃
「警戒レベル4・避難勧告」の緊急メールが届く。
メールによると、「危険な場所にいる人は、速やかに避難」するようにとのこと。

ーー危険な場所
我が家は高台にあるので、川の増水による水害はまず心配ありません。
危険を考えないといけないのは、むしろ土砂災害の方
少なくともだんなさんが住み始めてからの10年余り、この家屋は風雪に耐え、3.11でも物一つ落ちなかったと聞いており、地盤はかなりしっかりしているようです。
前年度の台風でも、結局は全く何も起こらなかった。

…とはいえ、山の異変、異常事態の兆候を読み取る術は、自分にはありません。
危険は現在、どれくらい我が家に迫っているのか…。
いずれにせよ、だんなさんがまもなく帰宅する予定なので、彼の合流をひとまず待つことに。

ー12時前
だんなさんが帰宅。
その矢先、今度はだんなさんの携帯に、地域消防団からの連絡が入ります。
危険度の高い地区に居る住民に避難を呼びかける為、団員に召集をかけるものでした。

場所はどこかと言えば、何とピンポイントで、我々の住んでいる地区
ここってそんなにやばくなっているの…と思ったのですが、川沿いの家屋はすぐに水に飲まれそうな立地のところもあり、同じ地区でも具体的にどこがどうなっているのか、状況は分かりません。
様子見も兼ねて、とにかくまずだんなさんが消防の方に行ってみることになりました。

このくらいで、わたしも本格的に出発の段取りを考えるようになりました。
だんなさんがどれくらいで戻れるか分からないけれど、最悪個別に行動しないといけないかもしれない。
にたろうと荷物を乗せて… 
保育園(町の中心部)に居るいちひめはここより安全だろうけれど、いいタイミングで迎えに行って、合流して…。

…と、ここで1~2分前に出かけていっただんなさんから、電話連絡が。
応答すると、
「ポンプ庫に向かう途中の道で、もう土砂崩れが起きて、道路が冠水してた。
普通の軽自動車は通れないと思う。
おれは無理やり通ったけど、マヨちゃんの車では無理やと思う。
とりあえず消防車で救助に向かうから、そこで待ってて」

…。
町の中心部に向かう道路ではそんなことが既に起こっていたのか…。


あ。

今、孤立してる。


電話を受けた後、急に災害の具体的なイメージがわいて、一瞬全身がぞっとする感覚が走りました。
振り返ると、その時点でようやくことの重大さ、起こりうることの規模の大きさが身に染みて「分かった」んだな、と思います。

ー14時
家の前に、消防車が到着。
来てくれたのは、だんなさんと、もう一人別の隊員さんでした。
他にもやらないといけないことがある(から出動している)のに、この細道をのぼって、我が家まで来てくれたんだな…。
そこに思い至って急に、「出遅れて、手間を増やしてすみません…」としのびない気持ちに襲われました。
が、今はとにかくありがたく、気持ちに乗っかるしかない。

大きな車を操って細い山道を上ってきてくれた隊員の方は、後で聞くと、以前からお世話になっているご近所さんの息子さんでした。
有難うございます、と言うことしかできないわたしに、にこにこと対応して下さる横顔が、仏の顔に見えた。

あわてて出発しようとしたところで、今度は保育園から着信が。
受話器の向こうからは「通常保育が終了したので、至急いちひめちゃんを迎えに来てもらえませんか」との先生の声が聞こえてくる。
いま!?

状況的に今すぐは難しい上、この時は電波が悪くてなかなか会話ができず、必死に聞き返したり、聞き返されたり。
とりあえず何とか「今から自分達も避難するので、落ち着き次第迎えに行く」ということになりました。
保育園を取り巻く状況も分からなかったので不安でしたが、まずはちょっと安心。
(※実際は保育園前を流れる小川も増水し、かなりの勢いだったようです)

…これは遠方に勤めに行っている頃だったら、すぐには駆けつけられなかっただろうな。
でも、町外で働く人の多い朝日町。
実際、そういうご家庭もあったんじゃないかと想像します。


玄関を一歩出ると、薙ぎ倒されそうなくらい、ものすごい雨の勢いになっていた。
初めて乗った消防車の窓ガラスはほとんど曇ってしまっていて、あまり外の様子は見えませんでしたが、見知った景色が普段と全く違う色と形になっているのは見てとれました。

問題の通行不可能となった道は崩れてきた土砂そのものより、泥水が道にあふれてしまって、普通の車ではタイヤが浮いてしまう状態だったようです。
消防車は当たり前ですがさすがの底力で、波の間でも力強く前進していきました。

ー14時30分~15時頃
近隣地区にある消防分団ポンプ庫で一旦下車し、だんなさんの車で町の中心部へ。
幸いにもちょうど避難のタイミングに前後して、「そっちは大丈夫?」と安否を気遣ってくれていた知人の方がいて、一晩受け入れて下さることになったのでした。
無事いちひめも合流し、だんなさんはその後、再び消防の業務に。
その晩はぬくぬく、避難先のお宅でリラックスして眠ることができました。


ー29日
明けて、翌日。雨はやんでいました。
道路も無事に復旧し、その日には家族4人で家に戻ることができました。
我が家は後日、湿気の蔓延がすごいことになりましたが(後で随所にカビが出てきました)、浸水も土砂災害もなく、事なきを得ました。


…と、ここまでが当日の全体的な、そして我が家の体験した流れです。
続きの記事で、何が自分にとって重要だと感じたか、次に生かすべき反省点は何か。
「避難」という体験の振り返りをしたいと思います。



避難先のお宅で見た、隣接する大江町の最上川氾濫の映像。
「あっ、あの場所だよね」「うそー」なんて言いながら、目が釘つけになりました。
知っている場所が映ると、やっぱり少なからぬ衝撃を受けます。

(2020年12月)

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