「とかいところ」の病院事情

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どこにどう住んでいようとも、予期せずやってくるものの一つ。
病気やけが。

特に子どもと暮らしていると、昨日まで何ともなかったのに朝になったら急に具合が悪くなっている、なんてこともしばしばあります。
「まさか…」「え、今?今なの!?」…という事態が頻発する中では、病院の大事さは、つくづく身に沁みます。

ということで、今日は病院のことを書きたいと思います。

「とかいところ」の医療機関

現状について

朝日町には、個人の開業医の方を含め、病院が数軒あります。
調べてみると専門分野の内訳は様々ですが、ホームドクター的な町のお医者さんにありがちなことですが、具合の悪い時には大体診てもらえるようです。
歯科と接骨院もあります(が、こちらはかかったことがなく、詳しいことは分かりません)。
薬局は2軒、町立病院のお隣で営業されています。

朝日町は医療機関の数、そして「ここが苦しい!ここがつらい!」となった時、ピンポイントで診てもらえる病院の選択肢(要するに「~科」ということです)が、とても少ない状況です。
例えば蓄膿症を慢性的に持っているわたしですが、耳鼻科は町内に無いので、町の外まで行かなければいけない。

また、にたろうを妊娠していた時には、車で30分くらいの寒河江市にある産婦人科に通っていました。
耳鼻科も産婦人科も、仕事の行き帰りに都合をつけて通っていたので不都合は感じませんでしたが、育児中の今、わざわざ出かけていくとなると…そんなに時間がとれるだろうか…。
自分の身体のことではありますが、メンテナンスくらいの検診の場合、日常のささいなことに優先権を奪われがち。
自然、足が遠のきます。

また医療機関が少ないということは、自分が希望する診療や対応が受けられない、という可能性も大いにあります。
ちょっと遠いけど、自分の身体を委ねるにはこちらのお医者さんの方がいい。
こういう内容の相談をするには、あっちのお医者さんの方が慣れていそうだ。
そんな風に選択した結果、町外の医療機関を選択する場合もあるかと思われます。


山に囲まれた朝日町。
全国的にも早い段階で、過疎化と住民の高齢化現象が現れてきたと聞きます。
かつては病院ももっと数が多く、繁盛していたのではないかと思うのですが、医療に限らず人が少なくなるにつれて採算がとれなくなり、どうしても廃止せざるを得なかったのかもしれません。

不便もありますが、どこに住んでいても、一長一短はある、と思っています。
これが、ここなりの「一短」で、じゃあ、どうするか。
我が家はこの状況の中で、こんな風にして暮らしてきました。

町立病院 という存在


朝日町で、困った時の大事なライフラインとして圧倒的な存在感を放っているのが、町立病院です。
緊急時に診療時間外でもかかることができる、救急指定病院でもあります。

通常、こちらで診てもらえるのは、内科・外科・整形外科・眼科。
医師の方は、常勤の先生と、大学の医学部等から派遣された先生によって構成されています。
毎日どこの科でも診てもらえる、という訳ではなく、何科の診察は何曜日、と厳密に決まっています。
また受付時間は、基本的には午前中(8時半~11時半。診察は、科によって午後も行われます)に限られます。
(★感染症への対策がとられた後の4月上旬からは、正面入口の開閉時間が変更になりました。また正面入口前で検温を行った上で、各自自動車で待機して順番を待つなど、待合空間に不用意に人が密集しないよう、工夫して対応されているとのことです)。


町立病院は、ホームドクターレベルで町民の生活に密着している一方で、都市部の大病院のような側面もあるなあと感じます。
救急の病院であることもそうですが、一つの病院にいくつもの診療科が含まれて、広い範囲の症状を診察してもらえること。
また、まさに大学病院から先生が派遣されていて、比較的精密な検査が行ってもらえること。

都市部の大病院では、一旦ホームドクターにかかってから紹介状を出してもらって…というのが一般的な順序ですが、ここでは医療機関が少ないゆえに、一足飛びに一定以上の専門性を持つ医療機関にかかることが可能になっています。
わたし自身はこれまでに、腎臓結石・むち打ち・虫刺され(蜂でした。末尾で詳しく書きます)で受診しましたが、先生含め、診療スタッフさんたちの対応はいつも丁寧で的確で、納得のいくものだったと記憶しています。
町の中では、本当に真っ先に頼れる存在です。


またもう一点、大病院的だなと思うのは、町内では唯一の入院施設であること。
町立病院における入院は単なる「病気治癒」だけでなく、「家での生活に復帰する為の入院」も含まれるそうです。
(正式名称は「地域包括ケア病床」といいます)

本当なら病気が治った時点で退院するのが原則だけど、治りましたよ!と言われても、日常生活にはまだほど遠く、そんなにすぐには以前の生活には戻れない。
そんな時に入院しながら・医療関係者の手も借りながら、日常復帰への不具合を一つずつ解消していけると、とても便利。
…という患者さんが、経過観察やリハビリを行いながら、最長で2か月間入院することが可能という制度なのだそうです(詳しくは、こちら)。
「治療」の場と「日常生活」までの距離をつないでくれる制度なんだ、と理解しています。

この「地域包括ケア病床」が整備されたのは2018年末と、つい最近のこと。
こう言った内容の制度が改めて設けられたということは、逆に言えばこうしたニーズが大きいということなんだろうなあ…と思っています。

先ほども触れましたが、高齢化がとりわけ著しい朝日町。
大家族で暮らしていらっしゃるご家庭も多いようですが、高齢者だけのお宅も少なくはありません。
以前受診した時、院内のあちこちで「リハビリ外来」の文字を見かけましたが、こうした景色や新たなサービス整備の内容から、朝日町全体が今・どんな課題を抱えているのか、それにどんな風に答えていくことが求められているかといったことが、ちょっとずつ見えてくるなと思います。

小児科ない問題

さて、一方で子育て家庭にとっては、非常に困ったことがあります。
実は朝日町には、町立病院を含め、「小児科」をかかげる病院がありません
町内の3軒の病院で、予防接種を含めて具合が悪い時には子どもも診てもらえます。が、正式に子どもを専門としたお医者さんとなると、町の中には無い…。
よって我が家を含め、様々なご家庭が、かかりつけの小児科を町外に求めている状態です。

隣接する大江町、寒河江市、山形市…町の外には、色々な小児科さんがあります。
朝日町は広いのでどこに住んでいるかによるでしょうが、近ければ20分、遠いと小一時間くらいの範囲に、希望する小児科を見つけることができると思います。

ちなみに現在我が家がお世話になっているのは、山形市のとあるこどもクリニック。我が家からは30Km強、車で片道45分くらいの距離です(雪の無い時期)。

かかりつけ医選びはそれぞれの思いやこだわりが関係するところなので、「話を聞いてくれる」「少しでも距離が近い」「オンライン予約ができる」「処方される薬剤に医師独自の考えが反映されている(ステロイドを使わないなど)」…等々、色々な判断基準があると思います。

とりあえず、我が家は自分たちの基準で選んだかかりつけ病院について、現時点で診察内容に不満はありません。すごく対応が丁寧で、一方的でないところがいいなと思っています。

子どもを取り巻く医療環境、こうだったらなあ

とは言え、「とかい」問題はここでも浮上します。
即ち、目的地までの距離が長い。時間がかかる、手間がかかる。

例えば朝、起きていちひめの体温を測ると、38度ある。
保育園には行かせられないし、何が起こっているかを把握するためにも、まず小児科に行く必要があります。
かかりつけの小児科まで、まず1時間弱。待ち時間と診察時間を含めると、病院で1~2時間。

朝日町に帰ってきてだんなさんと交代するにせよ、ファミリーサポート(こちらを参照。以下、ファミサポ)会員の方にお願いするにせよ、帰ってくるのにまた1時間…。
その時点で既に3~4時間かかるので、午前中の業務はまず全てキャンセルです。
勤めている時は、これがなかなか大変でした。

こうした事態は特に彼女が1~2歳の時に多かったのですが、だんなさんもファミサポ会員の方も都合がつかない時には、わたしがそのまま一日休んで、いちひめの具合を見ることも珍しくありませんでした。


さて、こうした「とかい」問題を抱えて、町内にもこうしたものがあったらな、と思うものが二つ。
一つは、「小児科」の名前を掲げた医療機関
もう一つは、病中・病後児の保育サービスです。※2021年6月、追記しました。


まず小児科についてですが、子どもの具合が悪いと言っても、その症状も様々です。いつもいつでも往復2時間かけて、イチオシのお医者さんに行かなければいけない…というほどの重い状況ではないのです。
これは大した不調ではないだろうな、という軽微な症状の時。
保育園に登園できるかどうか、医師の判断が必要な時(インフルエンザ等、問答無用で登園できない病気の場合もあります)。
そんなに大した症状ではないけれど、薬を処方してもらいたいな、という時…。
そんな時に、町内できちんと診てもらえる小児科があると、本当に助かります。

細かい話で恐縮ですが、朝一番に診てもらえればおそらく10時台には診察も終わるので、その段階で次の行動に移せます。
保育園に行ける状態であれば、午前中の遊びの時間から登園できるでしょう。登園はできずに誰かが見ていてやらないといけない状態でも、事前にファミリーサポートの方と連絡をとりあってOKを頂いていれば、その後お願いして、午前中から仕事に入ることができます。
例えば個人の開業医でなくとも、町立病院の「~科」のように週のうち一回、外部から先生が来てくれて診てもらえるだけでもいいのです。
それだけでも、ずいぶん物事が便利になるだろうなあ、暮らしやすくなるだろうなあと思います。


それからもう一つ、あったら本当に嬉しい!「病中・病後児保育サービス」について。
小さい子どもが急に具合を悪くすることは良くあると思いますが、そんな時、それを踏まえて病気を患っている子どもを預かってくれるというものです。
訪問型サービス(ヘルパーさんやベビーシッターさんみたいなものですね)と施設型サービスがあるようですが、朝日町には現時点ではいずれもありません。
近隣の山形市、寒河江市、河北町などでは施設型のサービスが複数存在しています。

朝日町にはないのですが、町議の方や役場の方々が頑張ってくださったこともあり、2021年4月より山形連携中枢都市圏の連携事業となり、7市7町で広域的な利用ができるようになりました!
元々は住んでいる地域や職場のある地域でしか施設の利用ができないものだったのですが、よその地域でもその地域の住民と優劣の差なく、サービスを受けられるようになったのです。
これは以前に比べれば、とても助かることだなあと思います。
(最初に自治体での登録が必要です。詳しくはこちら

また、病児・病後児保育サービスを利用した際の助成金も、2020年4月より設けられています。
飲食費と延長料金などを差し引いて、支払った分の半額を町が負担してくれます(上限は、一人あたり一日1,000円)。

具合が悪くても、最初からそれを考慮して子どもを預かってくれるサービスがあるとなれば、どんなに助かるか。
例え受け入れ人数にあぶれてしまっても、まず精神的に、何が起こっても大丈夫!怖いものなし!という気持ちで毎日を過ごせると思います。本当に。


(…とはいえ、「誰かがやってくれる」と待ちの姿勢で、ほしいほしいと言うばかりではいけないなという気持ちもあります。
現状を改善したければ、自分なりに何ができるのかなあ、と考えつつの日々です)

我が家の病院体験

体調記録ノートについては、別のページにまとめました。

入院が必要な、大きな病気にかかってしまったら

ちなみにいちひめは2歳の時に川崎病を患っており、この時は山形市の大病院に1週間ほど入院しました。

コロナ禍においても「子どもがコロナウィルスにかかった場合、川崎病に酷似した症状が現れやすいようだ」ということが分かり、一時報道されていた川崎病。
ざっくりした説明ですが、全身の血管に炎症が起き、心臓周りの細い動脈に瘤ができてしまう可能性もあるという病気です。
ホームケアで対処できる病気ではなく、入院して投薬を受けなければいけません。
また一旦病気が治ったという結果が出ても、再発する可能性もある為、退院後も定期的にエコーで心臓部の検査を受けて、病後の観察を行います。

川崎病は原因も含めまだ解明されていない部分が多い病気ですが、とりあえずいちひめについては活動内容や食事などに制限がある訳でもなく、現在は「とかいところ」でも何も問題なく、ストレスレスに暮らしています。


さて、この診断を受けた時は、件の体調ノートをつけた上でかかりつけの病院で受診(この時はだんなさんが行ってくれました)。
かかりつけ医ではすぐに「川崎病かもしれないので、大病院を紹介するね」となったそうで、そのまま紹介状片手に大病院を再受診。その場で「やっぱり川崎病です」と診断を受け、その夜から入院する運びとなりました。
この時は、いちひめ本人も心配でしたが、いったん入院が決まると少し気が楽に。


…が、入院生活のフォローの方が、実は予想よりも大変だった。原則、大人が24時間付きっ切りで付き添わなくてはいけなかったのです。

ここでまた、「とかいところ」の長距離問題です。
我が家からその病院への道のりは、片道およそ1時間弱。
往復すると、約2時間。
必要な荷物を用意して持ってくるのに、まず時間がかかります。
「あ、あれ忘れた!」となってもすぐには取りに行けないし、「今ちょっと交代して~」ということが気軽にできない距離です。

それぞれの仕事の都合もあったので、わたしとだんなさんは小まめに連絡し合い、1~2日間隔で付き添いを交代するようにしました。
その日はだんなさんが付いてくれるということで、そのまま病院で宿泊。わたしはリストアップされただんなさんの荷物+自分の分を用意し、翌朝にお届け+付き添いを交代です。
そしてまたその翌朝か翌々日の朝、だんなさんが7時半頃に来てくれて交代、わたしは支度してその足で出勤…というようなことをやっていました。
(ちなみにこの時も体調管理ノートで、いちひめの体調や気を付けなければいけないこと、投薬の完了などを記録して引き継ぎを行いました)

とはいえ有給休暇を保障されているわたしと違って、だんなさんはひとりで仕事をまわしていかなければいけない(「仕事と生活の仕方・2」参照)ので、必然的にだんなさんの仕事を優先し、わたしが付添いをやっていました。
が、わたしも一人でずっと付き添っているのはかなりきついし、仕事もちょうど休めない時期と重なっていた。

…ということで、この時も結局実家の母に無理をきいてもらい、急きょ山形まで足を運んでもらいました。
母は病院近くのホテルに宿泊の上、退院までの間本当に親身に手助けしてくれたので、わたしはその間ちょいちょい仕事に行くこともでき、だんなさんも仕事を遅らせることなく進めることができました。いちひめも元気いっぱいで、退院することができました。
話が度々それますが、こうして苦労をいとわずはるばるやって来て助けてくれる家族には、本当に頭が上がりません…。
わたしも同じことを求められた時、距離も自分の都合も二の次にして、こんな風にピンチを助けにすぐに駆けつけられるだろうか? 
今感じているありがたさの分も含め、是非そうでありたいと思います。

退院前、ばあばと記念撮影。
パシャリ。

助かりごと

我が家をとりまく医療環境について書いてきましたが、最後に、話を冒頭の町立病院に戻したいと思います。
実は小さな町の病院だからこそ、助かったなあ、本当にありがたいなあ、と感じることがあります。
診察する側にあふれる、「親身さ」です。


ここで、心に残るエピソードを一つ。
にたろうを妊娠中、うっかり蜂にさされてしまったことがありました。
蜂って、すごいんですね。刺された針が見えないのに、じんじんとしたしびれがいつまでも引かないで、不調を訴え続けている。
だんなさんに手伝ってもらって針を抜くと、すっとしびれと痛みは引きました。
ピンセットの先には、細くてほぼ透明な針が…こんなにか弱そうなものが、あんなに強力に自分の身体に作用してくるのか、と驚きでした。

それはともかく、その時一番の気がかりだったのは妊娠中と言うこと。自分の痛みは消えたけれど、刺されたことで胎内の赤ちゃんには影響はないのかどうか…。
インターネット上での情報収集に慣れきった身では、いざ肝心の情報がネットに見つからない場合、とても無力です。
手持ちの赤ちゃん関係の本の中にも、そんなことは一切載っていない。

(結論として言えば、母体が蜂にさされても、それ自体が赤ちゃんに影響することは無いのだそうです。
お母さんが上手く呼吸ができないようなアナフィラキシーの症状が出た場合、間接的に赤ちゃんの苦しさにもつながることはあるそうですが、幸いわたしはそんな症状も出ませんでした)

でも、そんなことその場では分からないので、不安が止まりません。
かかっていた産婦人科に問い合わせて診てもらおうと思ったのですが、受付の事務の人に「今日はもう受付時間は終わりましたので」と機械的に繰り返され、玉砕…(夜の19時を回ったくらいでした)。
緊急で何か対応しないといけないかどうかすら分からない、それだけでもアドバイスをもらいたい。一生懸命そのように説明したのですが、診療スタッフがその場にいなかったのか、「受付時間終了ですので、診られません」という回答しか得られませんでした。
何てこった…。

山形市の夜間緊急診療所に電話で問い合わせてみたところ、やはり「妊娠中ということで何があるか分からないから、できれば受診した方がいい」との答え。
でも頼みの、本当に頼りにしていた産婦人科には、診られないと言われてしまった…。悩んだ末、最後にだめもとで、町立病院に電話してみました。

すると電話口の向こうから、「今から宿直の先生が診てくれますので、支度をしておいでください」と言う優しい言葉が。
ありがたや…!

この時ほど、町立病院の親身さが身にしみて有難かったことはありませんでした。
入口で「夜分にすみません…」と意気消沈するわたしを、出迎えてくれた担当の看護士さん、それから事務の方か警備の方なのか、おんちゃんが「大丈夫だよ」「大変でしたねえ」と労わってくれました。
宿直の先生は外部の大学病院からやって来ている若い男性の先生で、当然ながら産婦人科が専門の先生ではありませんでしたが、きちんと物事を説明してくれました。
それで、それだけで、どんなに安心できたことか…。

対応だけがその病院を判断する基準にはなりませんが、自分がとても苦しい時、弱っている時(病院に行く時って、大体そうですよね)に親身で丁寧な対応をしてもらえると、本当に強く心に響きます。
このご恩は、決して忘れません!…とまではさすがに言いませんが、そんなセリフを物語の登場人物たちが口にする気持ちは、良く理解できます。
本当に、ありがたいという気持ち。


この「親身さ」はどこから来るんだろう、と思った時、わたしは一つには、この環境だから培われてきたものなのではないかと思っています。

都市部に存在する便利さが少ない。
冬は豪雪に見舞われる。
隣近所に住んでいる人が、特に働き手となる若い世代が少なくなってしまった。
こうした状況で、住んでいる人それぞれに「困ったこと」が大なり小なり、あるのだろうと思います。
「困ったこと」を抱えている人は、一方では相手の「困ったこと」にも想像力を働かせられる。優しくなれる。「お互い様」だと思える。
町立病院でわたしが触れた「親身さ」も、一面ではそんなところだから自然に溢れ出てきたものなのかもしれないな、と思っています。


もちろん、「とかいところ」の不便さゆえに、住みたくても住めないということはあるだろうと思います。
特にご高齢の方のお話をちらほら聞いていると、身体を悪くしてしまって、どうしても一人では住めなくなってしまった。遠方の家族のところに引っ越された…という話も聞こえてきます。

工夫だけで、家庭でできる程度の準備だけで、全ての不都合や不便が何とかなる訳でもない。
そのことは重々分かりつつ、今の暮らしの中に新しい選択肢が増えると、もしかしたら何とかなる不便や不都合もあるのかもしれない、とも思います。
もしもこういう暮らしが好きだという人がいて、不便さゆえに断念しているのであれば、その不便さの正体は具体的に何だろう。
そしてその不便さは、インターネットをはじめとした技術の発展で様々なサービスが可能になった現代だからこそ、どうにかして軽減や解消の方法が見つかったりしていかないだろうか、別の選択肢が増えてはいかないだろうか…。


なお朝日町ではないですが、同じく山形県内の「とかいところ」に住んでいらっしゃる方で、こんな話を聞きました。

ご家族について「日常の中で万が一、健康状態が危うくなるかもしれない」という不安を抱えていらっしゃった、そのご家庭。
でも、住まいは「とかいところ」です。医療機関も、遠い…では、どうしたか。
そちらのご家庭では、地元の消防と連携をとれるようにして、何かあったらこの地点まで迎えに来てもらう
という取り決めをすることで、リスクを減らしながら暮らしていらっしゃったとのことです。

ただこちらは「最終的に役場に相談して、役場から消防署に取り次いでもらった」というお話だったので、こうした手段で対応できるかどうかは、各自治体の判断、ご家庭の状況にもよると思います。
皆が一概にこうした対応を受けられるとは限らない、ということですね。

ただし住民規模の小さな地方自治体(朝日町もそうですが)の方が、当然ながら各家庭にも目が配りやすく、困り事への対応も融通がききやすい…ということも、一方ではあると思います。
困ったことがあった時、何か調べてもわからない時、役場に相談してみるというのは、一つの有効な手段だと思います。

そんなことを考えつつ、やっぱり健康に代わるものはない、と身にしみて思う今日この頃。
まずは家族皆が毎日、元気で笑っていられることをありがたく思います。
願わくば、「とかさ」に負けない元気なおばあちゃん、おじいちゃんになれますように。


(2020年6月中旬)

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