山のめぐみ④ ムカゴ

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あ、またあった。
ムカゴの実、なかよし二人組、あっちにも、こっちにも。

(画像は全て、クリックで拡大します)

ムカゴとは

今日取り上げる、ムカゴ。
漢字で書くと「零余子」。
ヤマノイモの蔓になる小さな実ですが、実は種でもなく果実でもなく、「芽が養分を蓄えて大きくなったもの」だそうです。


9月の半ば頃から、散歩道にこのムカゴを見かけるようになりました。
これが10月末になると、ヤマイモの葉はほとんど黄色に染まり、ムカゴをとろうと手を伸ばすと… 
途端にぽろりぽろり、ばらばらばら。
ツルをゆすっても葉に触っても、ちょっとのことでばらばら、ばらり…。
逆に取り落とす分が多いくらい、ものすごく衝撃に弱く、落ちやすくなる。
こうやって余分な養分を自然に落として、冬に向かっていくのでしょうか。



赤ちゃん片手に、もう片方の手でズボンのポッケヘ、ずいずい収穫。
簡単かんたん。

そのまま食べてもいいのですが、炊飯器で一緒に炊き込んでムカゴご飯にしたり、塩炒りにしたり。
山芋に近いようなホクホクした味わいで、塩とすごく合います。
10月に食べた時に感じたのは、まだ少し薄緑がかったものの方が、案外黒っぽいものより甘くて美味しかったということ。

このあたりの味の違いは、今後ぽつぽつ調べてみたいです。
だんなさんにも大好評の味でした。

 

(2024年追記)
ムカゴの味ですが、ジャガイモの一品種であるシャドークイーンにかなり近い気がします。
今年お裾分けで町内の方から件のジャガイモを頂いたのですが、ねっとりした紫色の実は、蒸すとホクホクして、塩や油によく合います。
そのほくっとした素朴な味わいが、ムカゴとかなり似ているなあと感じました。
蒸した後の黒っぽい皮も、見た目にもムカゴが巨大化したような。小人がムカゴを食べたらこんな感じなのかもしれません。

いつかの山の中

ムカゴと言うと、父との山歩きの思い出があります。
幼少時、山歩きに連れて行ってもらうことがままあったのですが、道中見つけては口に放り込んでいました。
多めに採れた時は、持ち帰って塩炒りで食べたりもしていたような。

ムカゴは子どもでも見つけやすい、分かりやすい外見をしています。
しかもちょっと力を加えたらぽろりぽろりと採れてしまうので、すごく手軽に収穫できる。
すごく、楽しい植物。

またあった、こっちにもあった!めっちゃ採れた! と、大人になった今でも、採集時には嬉しくなってしまいます。


あの頃訪れていたのはどれも西日本の山で、今いる山とは色も景色も全然違うけど、こんな風に見つける度に嬉しくて、楽しかった気がするなあ。
味は実はそんなに思い入れがあるほど好きではなかった気もするけど、家族が好きだからわたしも好きだった。
まさかまた、ここで会えるとは。

ちょっとしみじみしながら、ポッケの収穫物をそのまま、生でかじってみる。
パリリポリリと素朴な、思い出の味です。



さて、秋の散歩道を堪能しているうちに、9月の末ごろから、急に朝晩冷え込むようになってきました。
山形の「本番」は、やっぱり冬だなと思います。短い夏のさかりを越して秋がやって来ると、あっという間に長く厳しい季節が始まります。

山の中だからか、元々のつくりが土蔵だからか、一年を通して湿気が高く寒さの厳しい我が家。
ゆるいファンヒーターでは朝晩の涼気をしのげず、ついに本格的に灯油ストーブをつけ始めました。10月上旬のこと。
そうかと思えば、カメムシも急に増えてきました。

さて。
着々と、冬が近づいてきています。








…だから子どもたちよ。
寒くなってきたんだったら、大人しく布団をかぶって寝てくれい。

母ちゃんで暖をとるんでなしにさ。






しばらく、窮屈な朝晩が続きそうです。

(2020年10月中旬)

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