山のめぐみ① ヨモギ

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春が来て、目が覚めて。
とはかの有名なまど・みちおさんの一節ですが、春が来たなと思っていたら、そこいら中に山菜が見られるようになりました。
季節が、急速に変わってきます。

庭先や周辺で、簡単に山菜を摘むことができる我が家。
道の駅なんかで結構な値段で売られているのを見ると、うちの家っていいところだな!ふふん!
…と、勝手に勝ち誇った気分になっています。ちいさい人間です。

独特のえぐみや味わいのある山菜は、冬の間に身体にたまった毒素をデトックスしてくれるんだそうですが、確かに一冬超えてくたびれた後に口にすると、自分の中にない活力や潤いが外から入ってくるような気がします。
山に囲まれた地域に住む人たちには、機会を得ては頻々と食卓にのぼる、この季節ならではの楽しみの一つです。

その山菜の中、今日取り上げたいのは、ヨモギ。
ヨモギは様々な薬効をもつと言われる植物ですが、わたしが特に彼らに期待しているのは、
・体を温める効果
・鼻の詰まりを解いてくれる
・おいしさ
の三つです。
以下に、ご紹介します。

※ ご注意

・ヨモギは季節によっては、トリカブトなど猛毒の植物と見分けがつかないこともあるようです。
わたしは、葉裏の細かい白い毛、そして摘んだ時の独特の香りを手掛かりに判断しています。
また採る時期も、芽が出たての4月頃に限ることにしています。
・ヨモギはブタクサと同じキク科の植物で、花粉症の症状が出ることがあるそうです。
自分は問題ありませんでしたが、以下にご紹介する方法は、ご自身の体質に合わせてお考えの上、自己責任でお楽しみください。

ヨモギ概要

ヨモギ、キク科の多年草。
食用に薬草に、あまりにも有名な草です。
キク科全体に思うことですが、とても生命力の強い草だなと思います。

春が本格的にはじまると、どんどんわさわさ生えてくる。
季節にもよりますが、葉裏に銀色の産毛が生えていて、白く光るところが好きです。

 


初夏にもなると、これが驚くほど伸びて、伸びて。
腰の丈ほどにもなって、庭先が深い森のようになります。

トリカブトと似ているという話もありましたが、さもありなんと思わせる。それほどに形も色も季節ごとに大きく変わっていくので、一つの植物でもこんなに違う顔を見せるものか、と思い知らされます。

ヨモギを採る

ヨモギは我が家の庭先にたくさん生えている草の一つです。
何分雑草天下の庭のことなので、ヨモギもフキもその他の人間には有用と思われていない草花も、繁る繁る。目と鼻の先の距離を行き来するだけで、かなりの量を集めることができます。

上でも書きましたが、24年現在、私はヨモギを採るのは4月くらい、遅くともGWまでくらいかなと思っています。
理由は、新芽の時期を過ぎたヨモギに個性が出すぎ、どこからどこまでがヨモギと言う種族なのか、境目が良く分からなくなってくるから。
初夏の頃に入ると、目と鼻の先の近さに生えている個体同士なのに、葉の広さ、色み、質感。本当に同じ草かと思うくらい違って見えます。
一応ちぎれば同じヨモギの香りはするのでヨモギのグループなのでしょうが、個性の幅なのか、何かと交配してしまっているのか。
口にして体調が悪くなっても怖いので、やっぱり素人は分かりやすい時期だけの採取が良いなと思っています。
それに時期を過ぎたヨモギの葉は、繊維がとても強い。叩いても切っても何しても筋が残るので、食用としては結局持て余すなあと思います。

一生懸命日向でつみつみしていると、指先は土の黒、ほのかに漂うヨモギの緑の香り。
やっぱりこの香りが好き。
生葉を少しだけ口に含むと、無味の中にほのかに香りだけが感じられました。
まだアクは、無いようです。

 

さーて、採ったら、どうすべか。
て、まあ、基本的に食べるだけですが。
でもただ美味しいから食べている、だけではないのです。

効能① 体を温める

私がヨモギを好む理由ですが、その一つがこの、体を温めてくれる効果です。
鍼灸のお灸で使うモグサにも、ヨモギが使われているのだそうですね。

冬は雪に閉ざされる朝日町、特に我が家は中でも湿度が高いので、めっちゃ冷えます。
そんなところなので、内側から身体を温めてくれる食材は本当にありがたいもの。
試しに冷凍保存していたヨモギをカレーに入れてみましたが、いつもよりも体内がぽかぽかになった気がしました!
そして冷めにくい! 
あくまで個人の感想ですが。

ヒートテックもホッカイロも手放せませんが、体の内側から温めてくれる食物・飲み物の効果は、じわじわと芯から効いて、長く体内に留まってくれるようで、重宝しています。

効能② 対 鼻づまり効果

効能その2、これ、個人的には大事な要素です。
実は私は、慢性的に蓄膿症を抱えています(ドクダミの記事でもさんざん書きました)。
鼻水の良く出る季節には、頭痛、目の下の重み痛み、ひどい時には歯茎が痛いのかと思うようなところまで…気をつけているつもりでも、いつのまにか症状が進んでいることも多い…。

特にひどかったのがまだにたろうが生まれる前の時期で、鼻うがいをしていてもそこまで劇的な効果は無く、こまめに鼻をかむしかない日々でした。
そんな時に、「ヨモギが鼻づまりに効く」という話を耳にし、早速試してみたわけです。

手順:とてもシンプルです。

① 生のヨモギの葉 数枚を塩でもんで、汁を出す。
② そのままずぼっと、鼻の穴にさしておくだけ。
③ 5~10分後、鼻をかんで中にたまったものを出す。


待つことしばし…
既に鼻の中に水分がたまってきているのが分かります。
ああー、早く出してしまいたい!
はやる気持ちを押さえ、思い切りチーン!と力を込めて鼻をかむ。

…と、なんということでしょう!
鼻の奥から一気に鼻水が出てきたようで、これまでにない爽快感に!
す、すごくスッキリする…!
(これも、あくまで個人の感想です)

自分としては、効果的にはドクダミの方が即効性があったように思います。
ただ、季節の違い=鼻づまりの重症度の違いもあるので、一概にどちらが効果があるとは言えないと思います。継続してやってみて効きはどうか、という違いなどもあると思います。
生の葉っぱを入手するのが冬場はやや困難、と言うデメリットはありますが、個人的に鼻うがいよりもすっきりする時もあり、気に入っている方法です。


あとは止血効果もあるとか聞きますが、自分では試したことがないので何とも言えません。
先日公園で転んだ娘は、どこから聞いたかヨモギを血の出た膝小僧に当てていたと言っていましたが、小さな擦り傷程度のことで、結局は良くわからず。残念。

いざ、実食

葉っぱをただ鼻に詰めているばかりの、変な奴ではありません。
採ったら当然、食べますよ!

食べる楽しみは、わたしの生活の大きな部分を占めています。
ヨモギを食べていると、他の野草同様、体内に春を取り入れている気分になります。
冷凍やしょうゆ漬けなどにして長期保存できるのはとても便利ですが、「この時期にしか味わえない」という特別感こそが、実はおいしさを増してくれる気がする。

下ごしらえ

さて、食べるためには、下ごしらえが必要です(新芽の葉っぱはそんなにアクもないかもしれませんし、油で揚げ焼きしたら大抵問題なく食べられるような気もしますが)。
とはいえ、そんなに難しいものでもありません。

手順:あくまで、わたしのやり方です。
① 採集した葉の部分を、きれいに洗う。
汚れや虫のフン、虫そのものなども細かく潜んでいたりするので、個人的にはここが一番手間に思います。
2~3回、水を取り替えて洗っています。
② ぐらぐらに沸騰した湯の中に塩をひとつまみ入れて、1~2分ゆでる。
本当は重曹があるといいのだそうですが、新芽の時はそこまで気にならないので、うちではもっぱら、塩だけでゆでています。
③ ゆで汁を切ったら、冷水にさらす。とても鮮やかな、美しい緑色になります。
④ しぼったら、包丁で叩いてとにかく刻む。繊維を細くする作業です。
量が多い場合は、ミキサーを使うと手早いかと思います。
少量の場合は、容器の中で浮いてしまって、わたしは却って不便でした。
⑤ 冷凍保存も可能です。わたしは40~50gくらいの適当な重量で分けて、ラップにくるんで保存していました。

なお注意点を挙げるとすると、
・どうかすると、織物でも作れちゃうんじゃないか…?と思うくらい、繊維の強いヨモギ。季節が少し遅くなっただけで、刻むのも大変になります。新芽の季節を逃さないのが肝要。
・ゆでて絞ると、「えっ、こんなもん?」と思うくらい少量になるので、マナーの範囲内で、必要な分をとりましょう。大体、生葉の時の1/3~1/2のかさになるかと思います。

一度、天日で干す→蒸す→細かくするというやり方も試してみましたが、これはあまり上手くいきませんでした。
この辺は、また機会を得て周りの先輩方に聞いてみたいなと思っています。
 

アレンジいろいろ

このあたりは、もっと美味しい食べ方を研究したり紹介したりされている方々がたくさんいらっしゃるとは思いますが。
我が家での適当な楽しみ方も、一例として。
 

よもぎご飯

以前試してみて美味しかったのが、このよもぎご飯でした。
 

 
刻んだヨモギを、炊き立てご飯に混ぜるだけ。炊飯の時にだし汁を混ぜても◎。お好みで、塩も少し。
後日、冷凍したゆでヨモギを炊飯器に入れ、そのまま「炊き込みご飯」モードで炊飯しても、まあまあいけました。その場合、香りは弱めです。

レシピというほどのものもありません。
分量は大体で決めているので、かなり適当です。
ヨモギはゆでて絞ると、かなり少量になりますが、メインと言うよりあくまで風味づけなので、そんなに大量でなくても良いかと思います。
米2.5合炊きに対して、2カップ(400ml)容量のボウルに摘んだヨモギを使った時がちょうど良かったかな…。
(後日、米3合に対し、下処理済みのヨモギ35グラムを混ぜ込んだところ、独特の香りをかなり強く感じました。我が家では好評でしたが、香りに敏感な人は、これより少な目でも良いかと思います)

風味は、七草粥なんかに近いかもしれません。だんなさんは「和風のパセリみたい」との評価。さわやかな香りがお米に馴染んで、美味しかったです。

揚げヨモギ

ヨモギのアレンジとして王道レシピの一つであるのが、この「ヨモギを揚げたやつ」のようです(同じ地区の婦人会の方々にお聞きしたことがあります)
ちゃんとその先輩方のように「ヨモギの天ぷら」と言わないのは、私が作っているものが果たして「天ぷら」と胸を張って言えるような大層なものだか、あやしいからです。ということで、ここでは間をとって「揚げヨモギ」。
ちなみに王道レシピのもう一つは、草餅でした。これは私も小さい頃から好きですが、まだ自分では作ったことはありません。そのうち、そのうち…。

さて、これも例によって適当な作り方。
油で揚げるので、あく抜きはしなくても大丈夫そうです。
出たての柔らかい新芽ばかり集めてきて、良く洗ったら、ペーパータオルで水分を良くふき取る。
小麦粉に塩を適量つまみ入れて(結構入れても美味しかったです)、少量水を足して、新芽をドボン。さほど衣が葉にからむ訳でもないですが、余ったらチクワだの鶏肉だの、子どもが好きそうなものを後で揚げるのでいいです。

そのまま熱した油で、チュー、チュワワー、
出来上がり。

口に入れると、何とも言えずいい香り。
お酒が欲しくなります。
ビールかな、お冷かな。
衣に塩を混ぜない場合は、後からパラっと追いがけでどうぞ。
 

サツマイモとヨモギのカレー粉炒め

これはサツマイモじゃなくても、ジャガイモでもカボチャでもいいような気がします。
甘いのが苦手な人は、ジャガイモがお勧め。
でも私は甘みがちょうどカレーの風味と塩気を引き立ててくれているような気がするので、サツマイモがお気に入りです。

ここで使うのは、既に下ごしらえ済みのヨモギ。我が家は冷凍庫で保管していますが、それをがっさりと使います。
ちょっと多めの油を高温に熱して、クミン等カレーに使うスパイスを入れる。クミンだけでも十分かと思います。
香りが立ってきたら、そこに切ったサツマイモを入れ、炒めていく。
イモに火が通って柔らかくなってきたら、ヨモギを入れて、混ぜながら引き続き炒める。
最後に多めの塩こしょうを入れて、完成。

なお我が家では「ヨモギは油との相性がすごくいい!」という点について、安定して高い評価が下されています。ヨモギの天ぷらが人気なのも、なるほど頷ける。茎や葉に水を多く貯める植物ではないようなので、水気が多すぎず、油と良くからむのかもしれません。
そして他のスパイスとの相性も、良い。特にこれ、このカレースパイスとものすごく合うのです。
ヨモギのさわやかな香りが油物の後味を上品にしてくれて、なおかつ食欲を増進させるような風味だと思います。
ベーコンやひき肉なんかを合わせてみても、いいかもなあ。
 


…と、かように舌に、目に、身体に、いろいろと楽しませてくれるヨモギ。
里山で暮らす人たちには昔から身近な存在だったのだと思うので、他にも色々と使い道があるのかもしれません。
わたしは化粧水を作ってみたいのですが、一回やってみてあまり上手く行かなかった。アイヌのお母さんたちの、古くからの知恵なんだとか(新田理恵『薬草のちから』晶文社、2018年を参考にしています)。
また懲りずにチャレンジして上手くできれば、そのうちここでもレポートしてみたいものです。
お楽しみに。

(2024年5月中旬 再掲)

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